以前、ベトナムの定期預金について記事を作成しましたが、今回、色々調べた結果、隣国のカンボジアもなかなか熱いとわかったため、こちらについても記載したいと思います。
カンボジアは、東南アジアにある人口1672万人の国です。隣接する国としては、東に現在、わたしが住むベトナム、北にラオス、西にタイがあり、数十年前まで長期の内線状態にあった国です。わたしも子供の頃、ポルポト派による内戦等の報道に触れたのを今でも覚えています。
わたしも、出張で何度か同国を訪問したことがあるのですが、タイとベトナムを足して2で割ったような感じの雰囲気の国という印象を持っています。ただ、一部については、ここベトナムよりも良いと思える点はあります。
例えば、市中で走っているほとんどすべての車が、米国製の年浅の車両で、聞けば輸入車については中古車であっても、関税がほぼかからないようで、先進国の排ガス規程にて税金が上がるなどの対象となった車輌について、同国へ相当程度低い価格で渡ってくるようです。見た目ほぼ新車ですので、正直、羨ましいと感じたところです。
カンボジアの定期預金金利
さて、前段はここまでとして、ここからが本題です。カンボジアのUSDの定期預金が非常に魅力的です。同国には、有力な銀行がいくつかあります。
カナダ系外資銀行のABA銀行(ABA Bank)、国際機関によって設立された商業銀行であるアクレダ銀行(ACLEDA Bank)が代表的な銀行です。
これらの銀行は、比較的歴史も長く、財務基盤は比較的しっかりしているようです。ただし、財務優良で資金調達力に優れる銀行の場合、それほど預入金利は高くないです。ただ、もちろん日本の定期預金金利(三菱UFJ銀行スーパー定期10年0.002%)よりは断然高いです。
ABA銀行を調べるとWeb上での一番高い金利(Mobile Fixed Deposit)
USD定期36か月で3.75%
アクレダ銀行を調べるとWeb上での一番の高い金利(ACLEDA Mobile)
USD定期60か月で6.50%
両者ともにカンボジア通貨リエル(KHR)ではなく、USDとしているのは、当然ですがKHRが使い勝手が悪いからです。カンボジアへ行くとわかりますが、支払いについては、基本的にUSDが使えます。ただ、お釣りはKHRで返ってくる。出張後、残ったKHRをどうするかいつも困ってしまいます。
SBI LY HOUR銀行(SBI LY HOUR BANK)について
ABA銀行、アクレダ銀行について紹介しましたが、今回紹介したいのは、SBI LY HOUR銀行(SBI LY HOUR BANK)です。
この銀行はそれまで、LY HOUR Microfinance Institution PLC.という小口貸付を手掛ける企業をSBIホールディングスが買収し、商業銀行化手続を経て2020年3月にカンボジア中央銀行から商業銀行ライセンスを取得し、2020年6月からリテール分野における小口融資を主たる事業とした銀行へ生まれ変わらせたようです。(SBIホールディングスWebサイト参照)
個人的には、元々銀行でなかった小口貸付企業を商業銀行形態へ変容できるあたり、カンボジアすごいという印象を持ちますね。ただ、元々はマイクロファイナンス事業を行う企業の総資産ランキングでも8位にあったようで、住宅用不動産開発、資金決済送金事業、損害保険等、比較的手広く事業を展開していたようです。
SBIホールディングスは、日本国内ではSBI証券を傘下に持ち、最近ですと新生銀行のTOBとその後のグループ化し、その注目度は、益々高まっている企業だと思います。
そんな、SBIホールディングス傘下のカンボジア商業銀行ということになります。
そのため、ある程度の財務面、フィンテック等の技術面で、SBIホールディングスのサポートが受けられるという前提で、面白いと感じております。
SBI LY HOUR銀行のUSD定期預金金利
ここからは、SBI LY HOUR銀行の定期預金金利について、紹介していきます。
「Monthly Interest Withdrawal」こちらは、毎月金利を受け取れる定期預金タイプです。
個人的におすすめなのはこちらです。満期時に元金のみでのロールオーバー(満期時点での定期預金金利で新規に定期預金の口座開設)も可能です。あとに紹介する満期一括受取の方が金利は良いのですが、満期まで待つ必要があります。感覚的には、そちらの方がザ定期預金という感じでしょうか。
Term | Monthly Interest Withdrawal | ||
Month | KHR | USD | THB |
1 Month | 1.75% | 1.50% | 1.75% |
3 Month | 2.75% | 2.50% | 2.75% |
6 Month | 4.25% | 4.00% | 4.25% |
9 Month | 5.00% | 4.75% | 5.00% |
12 Month | 5.75% | 5.50% | 5.75% |
24 Month | 6.00% | 5.75% | 6.00% |
36 Month | 6.25% | 6.00% | 6.25% |
48 Month | 7.25% | 6.25% | 7.25% |
60 Month | 7.50% | 7.00% | 7.50% |
下記が満期一括受取タイプの定期預金金利です。満期時に元利ロールオーバー(元金と金利を元本として新規に定期預金口座の開設)もできます。
Term | Interest Withdrawal on Maturity | ||
Month | KHR | USD | THB |
1 Month | 1.75% | 1.50% | 1.75% |
3 Month | 2.75% | 2.75% | 2.75% |
6 Month | 4.50% | 4.25% | 4.50% |
9 Month | 5.25% | 5.00% | 5.25% |
12 Month | 6.00% | 5.75% | 6.00% |
24 Month | 6.25% | 6.00% | 6.25% |
36 Month | 6.50% | 6.25% | 6.50% |
48 Month | 7.50% | 6.50% | 7.50% |
60 Month | 7.75% | 7.25% | 7.75% |
定期預金金利に対する税金
カンボジアの定期預金金利に対する税金は、
当地居住者の場合は6%となりますが、非居住者の場合は14%となります。そのため、先に説明した定期預金金をそのまま受け取れるというわけではありません。
居住者の場合:
5年(60か月)満期USD定期毎月利払型の場合:7.00% x (1-0.06)=6.58%(受取利息)
非居住者の場合:
5年(60か月)満期USD定期毎月利払型の場合:7.00% x (1-0.14)=6.02%(受取利息)
定期預金金利にかかわる税金を控除してもそれなりに残る計算です。
口座の開設方法
わたしの場合は、直接担当の方へコンタクトし、口座開設に必要な書類を郵送して開設した経緯があります。これはかなり特異なケースだと思いますので、通常は、口座開設したい銀行の支店へ出向いて解説手続をすれば大丈夫だと思います。必要になる書類は、下記のとおりです。(わたしの場合)
- パスポート(コピー)
- 労働契約(勤務先から取得)
- レジデンスカード(コピー)
日本在住者の場合は、また違った書類が必要になる可能性がありますが、これらの書類についてベトナムの公証役場での交渉と在外公館での認証を求められました。日本の場合であっても同じになるのではないかと思います。詳細については下記担当の方へコンタクトすると丁寧に説明してくれると思います。
連絡先:
SBI LY HOUR BANK
No.118, Preah Norodom Blvd, Sangkat Tonle Bassac, Khan Chamkamorn, Phnom Penh, 120101, Cambodia
jessica.king@sbilhbank.com.kh
高金利の理由とカントリーリスク
ここまで、カンボジアの銀行に定期預金を作る魅力を説明してきましたが、金利が高いということにはそれなりの理由があります。簡単に説明すると下記のとおりですが、
何れにしてもご自身の判断で、口座開設、定期預金の開設等を行ってください。
- ペイオフの制度が未整備(銀行が破綻した場合に預金が保護されない)
- 外貨の持ち出し規制(外貨の持ち出し・持ち込みには税関申告が必要)
- その他法制度の改廃に伴う規制
コメント