(日本)非居住者となったときの証券口座の取扱い

海外生活

 この件については、長い間、わたしも色々考えていた件なのですが、一旦自分なりに考えを整理しようと思い記事にします。改めて調べると色々わかった点もあるので、自分自身で今後どうするかを含めて、整理したいと思います。これを見られている方は、ご自身でそのリスクについて考えた上で、判断してください。
※個人でまとめたものですので、あくまでも個人としての見解を述べたものです。

居住者・非居住者とは

居住者・非居住者とは??

 まずは、居住者・非居住者についてです。調べたところ、国税庁のWebサイトには下記のような説明が掲載されていました。

(参考)<国税庁Webサイト>
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
 「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
 したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
 なお、一定の場合には、その人の住所がどこにあるかを判定するため、職業などを基に「住所の推定」を行うことになります。

一読しても、よくわからないというのが、最初の感想だと思います。
要約すると

「居住者」とは、
「個人にて生活を営んでいる場所が直近1年間日本国内であるもの」ということかと、わたしは、理解しました。
 国税庁Webサイトには、客観的事実によって判定すると記載されているため、結論としては、住民票の有無に寄らないということだと思います。
 また、補足として、住居の推定についての別紙もあったため、後段に掲載します。
そちらも個別に確認すると

1つ目は、「国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有する」と説明されています。この点については、コロナで在宅勤務となり、すべてオンラインで完結できる働き形となった今において、通常必要という点がどういう意味なのか、若干疑問はあります。ただ、1か月に1回でも国内の事業所へ出社して、報告等が必要ということであれば、それも含めて国内において通常必要とする職業にあたるのだと思います。

2つ目は、「日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実」これまた、わかりずらい文章ですが、
”生計を一”にするとは、「日常の生活の資を共にする」とこれまた、国税庁Webサイトにありました。これでも難解なので簡単に書くと「毎日の生活のお金まわりについて、助けあう関係」ということかと思います。
これを更に要約すると

①日本国籍保有者

②毎日の生活のお金まわりについて助け合う関係の家族が国内にいる
又は
③日本国内において時々でも出社を伴う職業であること
又は
④日本国内に資産がある(銀行預金、家などがある)

①~④の実態に基づいて、1年以上日本国内で生活すると考えられる場合、居住者となるということだと思います。
こうしてみると海外への長期出張の場合は、①~④を満たしているため、居住者となると考えられます。

「非居住者」とは
前段で説明した居住者に該当しない者ということになります。
「個人にて生活を営んでいる場所が直近1年間日本国内であるもの以外ということかと、わたしは、理解しました。
国税庁Webサイト居住の推定の国内に住所を有しない者と推定する場合を参照すると
1つ目に「その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること」と記載されていました。これは、一般的に言われる海外勤務の派遣命令があれば、海外での住居を通常必要とする職業にあたると思います。

2つ目に「その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと」の記載があります。
こちらは、前段部分が先ほどの居住者の記載と異なる点がポイントです。「外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受け」という点を考えると日本国籍保有者が、外国籍を取得するようなケースの場合は、実際に日本へ戻る意思がないという事の現れということで、非居住者の要件の一つを満たすことになるようです。
要約すると

①外国籍または外国の永住許可を受けた

②毎日の生活のお金まわりについて助け合う関係の家族が国内にいない
又は
③日本国内において出社を伴う職業でないこと
又は
 ④日本国内に資産がない(銀行預金、家などがある)

●参考 国内に住所を有する者と推定する場合<国税庁Webサイト(別紙:住居の推定)
国内に居住することとなった個人が、次のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有する者と推定されます。
1 その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
2 その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること
※ 上記により国内に住所を有する者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国内に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有する者と推定されます。

●参考 国内に住所を有しない者と推定する場合<国税庁Webサイト(別紙:住居の推定)
国外に居住することとなった個人が、次のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定されます。
1 その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
2 その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと
※ 上記により国内に住所を有しない者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国外に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有しない者と推定されます。

非居住者となった場合の証券口座

 前段までで、居住者・非居住者の説明をしてきました。ここからは、代表的なネット証券であるSBI証券における非居住者の取扱いです。下記がSBI証券Webサイト上の説明です。
非居住者となってから、居住者となるまでの間は、SBI証券にて本人名義で有価証券の管理はできるようです。ただ、非居住者の場合は、「特定口座」「NISA口座」での管理ができず、一般口座での保管管理となるようです。また、その場合、株主総会への議決権行の代理行使のために常任代理人を選任する必要があるようです。常任代理人業務を行っている弁護士または、常任代理人業務を行っている証券会社もあるようですが、個人的には日本国内にいる親族で問題ないのではないかと思います。当然、株主総会以外の案内も届くため、信頼できる方が大前提になりますが・・・。

●参考 SBI証券の対応
海外転勤等の理由により出国(非居住)される方への対応について
当社に証券総合口座をお持ちのお客さまが、海外勤務等の理由により一時的に出国「(本邦)非居住者」 される場合、原則「帰国されるまでの間」も当社の証券総合口座(お客さま名義)にて有価証券等をお預けいただくことができます
ただし、当社では日本国外で金融商品取引業務を行う許可(免許)などを海外の監督官庁等から得ておらず、居住国の法令諸規則に則った対応を行うことはできません
具体的なお手続き方法につきましては、「当社カスタマーサービスセンター」または「お客さまのお取扱い店」までお問い合わせください。

※なお、特定口座等の税法上に関するお問い合わせの場合、お客さまの個別資産状況に関する税務相談につきましては、税理士法によりお答えすることができませんので予めご了承ください。
「永住」される場合は、証券総合口座の閉鎖が必要となります。


●出国(非居住)されるお客さまへ
出国を予定されるお客さまは、「当社カスタマーサービスセンター」または「お客さまのお取扱い店」までご連絡をお願いいたします。「口座番号」、「氏名」、「出国予定日」、「出国されるまでの当社お手続き」等についてご確認させていただきます。
また、当社および信託銀行等からの連絡先、株主総会における議決権の代理行使等のため常任代理人の選任が必要となります。
※常任代理人を選任される場合は、常任代理人業務を行っている弁護士等へご依頼いただくか、株式等の証券知識や税務知識等を有する方への選任をお奨めいたします。
なお、出国後に「(本邦)非居住者」に該当することが判明した場合、当社にて速やかにお取引の制限、特定口座やNISA口座(ジュニアNISA口座)の廃止などの手続きをさせていただきますのでご了承ください。「(本邦)非居住者」に該当する場合、特定口座やNISA口座(ジュニアNISA口座)で上場株式等の管理を行うことはできません。
※出国後にNISA口座で支払われた配当金等がある場合には、遡及して課税されることとなります。

●非居住者の定義
外国にある事務所(本邦法人の海外支店等及び現地法人並びに国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者。
2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者。
本邦出国後外国に2年以上滞在するに至った者。
1年以上にわたり日本以外に居住する者。
期間の定めのない海外転勤、海外留学。
上記に掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6ヶ月未満の者。(但し、上記に関わらず、本邦の在外 公館に勤務する目的で出国し、外国に滞在する方は、「居住者」として扱われます)

わたしの結論

 居住者・非居住者、SBI証券の対応について考察してきましたが、わたし個人としては一旦、保有証券口座についてはこれまでどおり、放置しておこうと思います。
理由としては、

  1. 特定口座にて保有しており、受取配当、売買益が生じた際、所得税・住民税について証券会社にて源泉されており、国内税法上の観点で言えば、課税逃れには当たらない点
  2. 現在、生活している国で受取配当・売買益に対する所得等について、申告漏れを指摘される可能性が低い点(仮に指摘されても日本で納税を行っていると説明できる)
  3. これらの手続を行うことが事実上一時帰国時を除きほぼ不可能である点

上記を踏まえての一旦の判断です。
仮に今後、当地税務当局から指摘等あれば、その模様についてもこのブログで記事化できればと考えております。また、これは現時点での判断ですので、今後の世界的な情勢、リスクの面を含めて考えが変わるかもしれません。その点についても変化があれば、また、掲載したいと思います。


 今後、海外へ仕事で赴任される予定の方またはそのご家族、移住を検討している方など、検討にあっての材料となれば幸いです。 

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