今回は、ベトナムから日本への外貨の送金について、書きたいと思います。
今年に入ってから対ドルに対して円安が急激に進行しておりますが、新興国通貨に対しても円は安くなっています。そのため、銀行口座にVNDを保有している方が、それをドルに替えて日本へ送金するケースもあるのではないかと思った次第です。
この記事は、ベトナムにおいてUSDまたはVNDを保有している方が、日本へ送金する際の手続についてまとめていますので、保有通貨の見直し、運用国の変更を検討されている方の参考となれば幸いです。
海外送金とは
海外送金とはその名のとおり、日本国内からの場合は日本から海外へ、海外からの場合は居住国から別の居住国へ送金することを指します。海外送金する場合は、円のままで送金することは基本的にできず、国際決済通貨であるUSDへ交換した上で、仕向地のある国へ送金することになります。
海外送金時の手数料
海外送金時の手数料は大きく分けると下記のような手数料が発生します。
- 為替手数料:居住国での通貨(円、VNDなど)をUSDへ交換する際に適用される為替レートです。
- 送金側海外送金手数料:依頼する銀行で生じる手数料です。
- 中継銀行手数料:基本的に送金側と着金側で直接USDの決済はできないため、米国の銀行が介在します。その際に発生する手数料です。
- 着金側銀行手数料:海外送金を受けた銀行で発生する手数料です。無料のところもありますし、金額によって手数料を取る場合があります。また、口座の種類が着地国の現地通貨(例えばVND)の場合は、USDをVNDへ変換する際に為替手数料が発生します。
なお、USDで保有している場合は、1の手数料については発生しません。
ベトナムから日本への海外送金
ベトナムから日本への海外送金については、現地企業に雇用されている場合、手続き上それほどハードルは高くありません。下記、書類が準備できれば当日依頼し、遅くとも翌日には手続が完了します。
- 海外送金申請書(銀行から受領)
- ベトナム企業との雇用契約書(雇用先から取得)
- パスポート(写真ページ)のコピー
基本的には、上記3点の書類があれば送金できます。
ただし、企業に就業していない方などについては、証券口座を介して手続をしなければならないなど、手続きが異なるようです。
この点については、わたしは手続を経験したことがないため、わかりません。
その他の方法としては、USDを現金で持ち出すという方法が考えられますが、安全上の理由と出国時に無申告で持ち出しを掛けた場合に没収される可能性があるなど、予測困難なリスクがあるため、避けた方が無難です。
実際の手続き
わたしの場合、保有するVietcombankのUSD口座の一部を日本の銀行口座宛てに送金したかったため、同行の担当者へ連絡し、送金関係書類を送ってもらい、メールで必要書類のスキャンデータを送り(後刻、送金依頼書のみ原本を送付)、当日中に手続きが完了、翌日には仕向地銀行(日本の銀行)から着金の案内が来ました。
ちなみにVietcombankの送金時の手数料は、今回のわたしの場合で
27.5 USD/10,000 USD送金
顧客(ご自身)の銀行におけるステータスで多少異なるようです。(念のため、お伝えします)
送金依頼書は、下記のような書類です。各銀行、支店で多少フォーマットは異なるかもしれませんが、概ね同じ記載内容かと思います。
- Value date:送金希望日
- Amt in figures:送金額
- Amt in words:送金額の英語記載(Ten Thousand…のような記載です)
- Debit a/c no:送金元口座(金額を拠出する口座番号)/口座から出す場合はCash等の記載は空白でOK。
- (Remitter)Full name:送金者名
- (Remitter)ID/PP no:送金者ID(パスポート番号でOKです)
- (Remitter)Add:送金者住所
- (Remitter)Tel:送金者電話番号(携帯でOK)
- (Intermediary BK)Name:経由銀行名(指定あれば、以下記載)
- (Intermediary BK)Bank code:経由銀行コード(SWIFTコード)
- (Intermediary BK)Add:経由銀行住所
- (Beneficiary BK)Name:受領銀行名
- (Beneficiary BK)Bank code:受領銀行コード(SWIFTコード)
- (Beneficiary BK)Add:受領銀行住所
- (Beneficiary)Name:受領者名
- (Beneficiary)A/C no or IBAN no:受領者口座番号
- (Beneficiary)Add:受領者住所
- (Detail)空白可
- (Charges)手数料負担先(OUR:送金者負担/BEN:受領者負担/SHA:送金者・受領者折半のどれかにチェックマークを入れる)
- 最下段左のCustomer’s signature欄に申請者の署名
少し項目が多いかもしれませんが、これだけ記載して他の書類と共に銀行へ送付すれば、海外送金は完了です。
おすすめ送金先銀行
わたしが先日送金した際に利用したのは、住信SBIネット銀行です。理由としては、USD口座を保有していれば、USDで海外送金した場合、そのままUSDで受けてくれるというもので且つ、手数料も安かったからです。また、着金時に通知がメールで行われますので、住信SBIネット銀行へログインの上、Webベースで受領可否(受領するかどうかの確認)、受領目的について申告する必要がありますが、Webですべて完結するため、電話等での対応は一切必要ありません。
下記のとおり、リンクを記載しますが、
50,000 USD以上を送金する場合は、受取時の手数料は無料となります。
また、50,000 USD未満であったとしても、一律25.00 USDとそれほど割高ではないと思います。
今回の送金における手数料
今回は、10,000 USDをベトナムから日本へ送金しました。今回の海外送金で送金元銀行、送金先銀行で発生した手数料をまとめると下記の通りです。
送金元銀行手数料25.5 USD + 送金先銀行手数料 25.00 USD = 50.50 USD(合計)
送金額に対する手数料の割合:50.50 ÷ 10,000 = 0.505%
もう少し金額を増やせば日本側での受取手数料についてはゼロにできるかと思いますが、一旦は及第点というところではないかと思います。
まとめ
本日の記事のまとめです。
ベトナムから日本への海外送金については、必要な書類は3点のみ。
ただし、ベトナム現地企業に就業している場合。就業していない場合は、証券口座等からの別ルートで送金する必要がある。
手数料については、今回のケース(10,000 USD)で送金額の0.505%。金額をもっと増額できれば半分程度まで減額する事が可能。
今回で2回目のベトナムからの海外送金でしたが、非常にスムーズだったという印象です。
ベトナムの銀行にUSDを預けていても、利息はゼロのため無為にお金を遊ばせておくくらいであれば、運用先を検討する中で海外送金が必要な場面も出てくると思います。
その際に本記事が何かのお役に立てば幸いです。
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